一つのテーマに沿った本の記事を書いてトラックバックしあうという、
大変面白い企画です。
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「この本は電車で読まないで下さい」
ユーモアエッセイやユーモア小説につけられるポップの常套句である。
しかし、である。
「電車でよむな」というだけの警告では、人前で恥をかく危機を回避しきれないのではなかろうか。
もしもボサノヴァの流れる静かなカフェで「吉里吉里人」を読んでふきだしてしまったら、
すっかり皆の注目を集める大惨事だ。
あるいは、駅前で待ち合わせをしている相手が
「牛への道」を読みながらにやにやしていたら、
ちょっと近付き辛いではないか。
「電車・カフェ・授業中・路上・駅前・レストラン・静かな図書館・会議中・機嫌の悪い恋人の背後、
その他公共の場ではお読みにならないで下さい」
この位の警告がなされなくては、笑いの危機は避けきれない。
いっそのこと、一人で自室にこもって読むくらいの策をとっておくのが吉かもしれない。
コーリイ・フォードの「わたしを見かけませんでしたか?」は
自室にこもって読むのにふさわしいユーモアエッセイである。
世の中の妻達は何故こぞってヒモをためこむのか。
レストランで自分のところにウェイターがなかなかこないのは何故なのか。
ダイエットに成功するためのユニークな手法とは何か。
本書には何気ない日常の一こまを笑いに変化させる名エッセイが19篇収録されている。
おもわず唇の端がゆるむ洒落た笑いを堪能させてくれる一冊だ。
中でも絶品は冒頭の「あなたの年齢当てます」である。
これは中年の男性の身の回りに起きる変化をユーモラスに描いた作品だ。
…最近の新聞は昔より細かい活字を使っているような気がする。
…靴ヒモを結ぼうとすると昔より靴ヒモが遠くなったような気がする。
…家から駅までの距離が倍くらいに増えた気がする。
淡々とした語り口が笑いを誘う。
発表当時から盗作が相次いだといわれるほどの名エッセイである。
解説の南伸坊氏がこう書いている。
「(本書の著者は)冗談なんて一言も言わないような澄ました様子で、
バカバカしい、クダラナイ、オモシロイ話をしてくれるカッコイイ大人なのである」
カッコイイ大人のスマートな冗談を、部屋でこっそり独り占めしてしまおう。
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